「アパート経営」の本質

本質とは? 土地活用のアパート経営

 

「不動産投資が注目を集めたのは、銀行預金などよりも利回りが高いため」という説明をしましたが、「利回り」を正しく理解していない投資家の方は意外なほど多いのです。利回りについては第3章で詳しく説明しますので、ここではおおまかなところだけの説明にとどめますが、用語としての意味を取り違えているのではなく、「途中で錯覚を起こしてしまう」といったほうがいいかもしれません。

 

 

アパート経営の含み損を覚悟しよう

「買った物件は基本的に値上がりしない」

 

株なら、いずれ戻るという可能性もありますが、ワンルームマンションやアパートは、インフレ時に多少価格が上昇することはあっても、その上昇幅はわずかですし、古くなって価格が下落していくリスクは覚悟すべきです。利回りばかりを強調するセールスマンは、この将来の値下がりぶんのことや、賃料収入がいずれ下がってくること、空室期間を覚悟しなければならないことは説明せず、バラ色のシナリオが未来永劫続くかのように投資家を煽るのです。

 

しかし、現実にはそうはならないわけです。私のところへ相談に来て、「販売業者は10%の利回りだといっていたし、価格をそのうち上がるといっていたのに、実際には半分程度の利回りでしか回っていない。価格も上がるどころか、査定してもらったら2割も下がっていた。もう不動産投資なんてやめたい」という方がいました。この方のいう、「業者の説明の半分」だという利回りは、あくまで購入価格に対する利回りなので、価格下落分するとさらに下がります。このような錯覚は、そもそも買う前に値下がりリスクを覚悟していないうえに、買ったあと、買った物件の含み損を自覚しないために起こります。私は基本的に投資用不勤産は、ワンルームマンションかアパートで、首都圏の物件で中古を買うべきだと考えています。

 

詳細は追ってあとで詳しく説明していきますが、中古をおすすめする理由の一つに、買ったあと、物件価格の下落率が新築に比べて低いということがあります。ワンルームマンションは新築時から3年が最も下落率が高く、5年以降の下落率は最初3年間よりはゆるやかです。不動産投資をされる方は、基本的に長期スタンスの方が多いので、買った時点で2〜3年で転売するつもりでいる方はほとんどいませんし、そういう方にはそもそもおすすめできません。

 

キャピタルゲインではなくインカムゲインを狙う以上、投資の回収は短期間では無理だからです。したがって、10年後、20年後、もしくはいつかもわからない売却時点の値段を、購入時点で予想することは不可能です。しかし、含み損は年々積み上かっていくものなのだということ、そして、それだからこそできるだけ価格が下落しにくい物件を選ぶ目が必要になるということを自覚する必要があるのです。株は価格が戻る可能性があるぶん、期待してしまいますが、不動産の場合にはそれがほとんど期待できないぶん、逆にへ夕な期待をせずにすむともいえます。では、価格が下落しにくい物件とは何か。ずばり、収益を生む物件です。収益を生む物件とは、入居者がつきやすい物件です。入居者がつきやすい物件とはどういう物件なのかについては、あとで説明しましょう。とにかく、「利回り」は、元本が利益を生んで、もとの金額よりも増えるからこそ「利回り」です。

 

 

成果だけ見ると痛い目にあう

配当や利息は先に生まれていきますが、最終的な運用成績は、一番最後に元金を満額取り返して初めて、それまでの運用成績とトータルの運用成績が一致します。しかし、利息や配当を手にすると、とたんに緊張感や警戒心がゆるみ、元金に対する関心が薄れて当然満額返ってくるもの、と思いこんでしまうのも、また人の常です。

 

昔から高配当をうたって投資家から資金を集め、実際には運用していなかったので、ある日突然破綻してみたら、投資家から預かったお金の大半は消えてなくなっていた、という事例は枚挙に暇がありません。この類の詐欺にひっかかってしまう大は、何も最初からいきな多額の資金を預けているのではなく、少額に留めるのですが、そこで公約通りの高配当を受け取ると、一挙に相手を信じて多額の資金を預けてしまうようです。集めたお金の中から配当金を払う、タコ足配当で高配当を実施していても、そのことを投資家に隠して信じ込ませるのです。人は投資の成果を見せられると、成果の部分のみに目を奪われやすいものなのです。

 

 

アパート収入を誰にも知られなくするには?
 

アパート収入がある人は、確定申告しなければなりませんが、別のページにふれたように損益がマイナスなら、給与所得との相殺が可能となります。

 

しかし、収入がプラスになってきた場合には、どのようにすればよいかといえば、これももちろん、給与収入のほうでいったん年末調整した後に確定申告をしなければなりません。つまり、前年所得を計算して、3月15日までに申告書を税務署に提出し、税額の不足分を納めなければなりません。ところが、住民税のほうは、所得額に応じて翌年の給与から差し引かれることになりますから、この時勤務先の会社には、通常の給与所得水準よりも多い額の住民税額の納付請求がいくことになります。

 

もちろん、不審に感じた人事課や経理課から問われたなら、正直に答えてもよいでしょうが、それが嫌な場合には、自分の住所に直接納付請求が来るようにしてしまえば避けられることでもあります。確定申告書の中には、「住民税・事業税に関する事項」という欄がありますから、そこの「給与から差し引き(特別徴収)」と「自分で納付(普通徴収)」の選択欄で、普通徴収のほうを選んでおくとよいのです。

 

すると、翌年より給与からの住民税の徴収がなくなりますから、給与収入以外にいくら稼いでいるのかということは、推定することすらできなくなるわけです。会社側にとっても、住民税徴収の手間が1人分とはいえ省けたのですから、喜んで頂けるというものでしょう。「別に、よそでアルバイトとか、しているわけではありません」とでも釈明しておけば、何の問題もないことを知っておいて下さい。